1956年、映画史に金字塔を打ち立てたのがデビッド・リーン監督による「風と共に去りぬ」です。マーガレット・ミッチェルの同名小説を原作とし、南北戦争時代のアメリカ南部を舞台に、スカーレット・オハラという強い意志を持つ女性の人生を描いています。壮大なスケールと繊細な人間ドラマ、そして忘れられない名セリフの数々は、映画ファンならずとも魅了する傑作です。
物語の背景と登場人物たち
「風と共に去りぬ」は、アメリカ南北戦争前の南部のプランテーションを舞台に、スカーレット・オハラという美しいものの見方をした女性を中心に物語が展開されます。彼女は裕福な農園主の娘であり、その美貌と社交性で周囲の人々を魅了します。しかし、スカーレットは自分の感情を素直に表現することができず、また、自分と対等な立場にいる男しか認めようとしないというプライドの高い性格を持っています。
物語は、スカーレットが幼馴染のアーシュ・ハミルトンに恋をすることから始まります。しかし、アーシュは優しくて気品のある女性メーガンを愛しており、スカーレットの気持ちに応えることはできません。そこでスカーレットは、アーシュとメーガンの結婚式のために、自分自身にも男が必要だと考え、富豪フランク・ケネディと結婚します。
しかし、南北戦争が勃発し、スカーレットの人生は大きく変わっていきます。夫フランクは戦死し、家族や農園も失います。スカーレットは、自分の力で生き残るために、困難な状況にも屈することなく立ち向かっていきます。そして、戦後も苦しい生活を続ける中で、スカーレットは冷酷な実業家レット・バトラーと結婚することで財産を得ようとしますが、彼は彼女の本心を知りません。
複雑に絡み合う愛憎劇と歴史の激動
「風と共に去りぬ」は、単なるラブストーリーではありません。南北戦争という歴史的な背景を描きながら、スカーレットの葛藤や成長、そして周りの人々との複雑な人間関係を描いています。特にスカーレットとレットの関係は、愛憎劇の要素が強く、観客を惹きつけます。
レット・バトラーは、裕福で冷酷な実業家であり、スカーレットとは対照的な人物です。彼はスカーレットに惹かれていますが、彼女の自己中心的な性格を理解し、受け入れることができません。二人の関係は、常に葛藤と緊張感に満ちています。
また、「風と共に去りぬ」では、南北戦争による社会の変革や人々の苦悩も描かれています。スカーレットをはじめとする南部の白人たちは、奴隷制度が廃止され、経済状況が悪化する中で、新しい時代に適応しようと試みます。
映画史に残る傑作の魅力
「風と共に去りぬ」は、その壮大なスケールと精緻な映像美で有名です。広大なプランテーションや戦場の様子、そして当時の衣装や生活様式などが細部にまでこだわって再現されています。また、映画音楽も素晴らしく、特にスカーレットのテーマ曲「Tara’s Theme」は、彼女の強い意志と激しい感情を表現していると言われています。
さらに、「風と共に去りぬ」は、ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、ハッティ・マクダニエルなど、当時の人気俳優陣が出演していることも魅力です。彼らはそれぞれのキャラクターを生き生きと演じ、観客に忘れられない印象を与えています。
特にヴィヴィアン・リーのスカーレットは、その美貌と演技力により高い評価を得ており、アカデミー主演女優賞を受賞しています。彼女の演技は、スカーレットの複雑な感情を繊細に表現しており、観客の心を掴みます。
「風と共に去りぬ」は、映画史に残る傑作として、今日まで多くの人々に愛されています。その壮大な物語、魅力的なキャラクター、そして美しい映像美は、時代を超えて輝き続けています。
映画データ
- 監督:デビッド・リーン
- 原作:マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」
- 出演:ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、ハッティ・マクダニエル、オリヴィア・デ・ハヴィランド、レズリー・ハワードなど
- 製作:セレーナ・プロダクションズ、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
- 上映時間:238分
主な受賞歴
- アカデミー賞:作品賞、監督賞、主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)、助演女優賞(ハッティ・マクダニエル)、撮影賞(カラー)、美術賞(カラー)、編集賞、作曲賞(オリジナル歌曲)など
「風と共に去りぬ」は、単なる映画ではなく、歴史と人間の感情のドラマを織り交ぜた壮大な作品です。ぜひ一度鑑賞し、スカーレット・オハラの生き様や歴史の激動に思いを馳せてみて下さい。